「福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた」原口氏が衝撃の告発
2011年06月2日、自由報道協会が主催する記者会見で、原口一博前総務相は、福島原発について、「8年前の自民党政権の時代に、福島第一原発の安全冷却システムが外されていた」という驚愕の事実を発表した。――何故、「最後の砦」を取ったのか?
これまで当局の発表は「どんなことがあっても原発は安全です」というものでした。原発の冷却システムを作ってきた、佐賀大学元学長の上原先生が指摘しているように、蒸発系の冷却システムがあれば、電源喪失しても蒸気が出ている限り循環するので安全だったんです。なのに、事故が起きている。
おかしい、作ったはずの冷却システムはどこにいったんだ!? と、なった。
そこで4月3日、私が東電に直接行って、「冷却系の蒸気系のシステムがどこにあるか?」と聞くと、担当者は「ないんです」と言うんです。ないわけない。作ったんだから。という押し問答の末、原子力安全委員会の議事録を読むと、平成15年の自民党政権の時代に、ECCS(非常用炉心冷却装置)の中の冷却系の蒸発システムが取り外されていたんです。
浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故の教訓
もし原口一博前総務相が、- 「BWR配管における混合ガス(水素・酸素)蓄積防止に関するガイドライン」において、福島第一原子力発電所の、2号機、3号機、5号機が、「該当箇所なし」になっている点、
- 条件付だが蒸気凝縮系を撤去すよう改訂された点、
何故なら、2号機、3号機、5号機の場合は、浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故で最低でも配管形状の改善が求められた蒸気凝縮系が担っていた機能を、逃がし安全弁と原子炉隔離冷却系による隔離時の冷却機能で補う仕様になっていたからである。
浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故とは、定格出力運転中のとき、定期的に行なっている高圧炉心注入系ポンプの手動起動試験時に起きた、ジルコニウム由来の水素ではなく、放射線由来の水素及び酸素が、配管のある特殊な形状を理由に滞留し、応力腐食割れ防止策として添加された白金やロジウム等の貴金属によって、水素と酸素の爆発的な反応が促され、配管が破裂するに至った、というINES(国際原子力事象評価尺度)レベル1の事故を言う。
この事故を受けて、
- 蒸気凝縮系を撤去し、逃がし安全弁と原子炉隔離冷却系による隔離時の冷却機能で補う仕様に変える。
- あるいは、グランド蒸気調整機の入口配管、湿分分離加熱器第1段スカベンジング配管、エバポレータ入口配等、水素の滞留を許さない形状へと変える。
決して、非常用炉心冷却装置(安全装置)が外された訳ではない。
日テレのスペシャル番組「たけしのIQ200」において、「これから『正義』の話をしよう」の著者マイケル・サンデル氏相手に、「公約は絶対に守らなければならない」と大見得を切った原口一博氏は、二酸化炭素25%削減宣言・鳩山イニシアチブで原子力依存度を高め、もんじゅの再運転を促し認め、福島第一原発の1号機の延命を認め、3号機へプルトニウム・MOX燃料の導入を促し・・・等々の、理のない理由で原発リスクを高めた民主党の罪を、中東情勢リスクを減らす目的で推進した自民党に擦り付けようとしている。としか考えられない。
もし「村上ジョージさん。それはない。それは酷い。僕は国会議員と言う強い立場だからこんなことは言いたくはないんだけど、名誉毀損だ。謝罪はしなくてもいいから、せめて訂正して欲しい」と言うのならば、「津波が来てもメルトダウンはしない」と関西ローカル系地方派テレビで発言したという噂もある原口一博氏は、せめて、「逃がし安全弁と原子炉隔離冷却系による隔離時の冷却機能」が、「蒸気凝縮系」が担っていた機能を担えないことを証明しなければなるまい。
もう一度言おう。福島第一原発の1号機からも、2号機からも、3号機からも、4号機からも、5号機からも、決して「非常用炉心冷却装置(安全装置)が外された」という事実はない。
編集後記
原口が言っている「自民党が削除した安全装置」が何なのか? が分からず、今更になってしまいました。今も判然としていないのですが、おそらく「残留熱除去系(余熱除去系)の蒸気凝縮装置」のことだと思います。自民党も酷いが、民主党はもっと酷い。菅も酷いが、原口、小沢、鳩山、前原、細野・・・たちの方がもっと酷い。
で、ブログ名を「日本アンチ原口団」に改め、自称統括副部長を名乗ることにしました。高田さんより桜庭さんの方が好きということもありますが、情弱なので「統括部長」は無理です。
6月18日追加
そもそも、地上波テレビ(関西)で、あの時ですね一番恐かったのは、「津波が押し寄せてきて、原発がメルトダウンする」っていうのがツイッター上でダーッと広がってたんですよ。と発言したらしい原口一博前総務相は、原発安全神話吹聴派じゃないか!
そうすると、「原発というのは東京湾ポイントから13メートル上にあるから、絶対にソレはありません」と、言うことで、皆、サーッと引いていくわけです。
で、この後僕は総務省で、消防庁と情報通信の担当と長官と呼んで「この両方でやりなさい」と。で、もう僕は一々関りません。
で、今政府では実質に何か災害が起きたときにツイッター上で全て発信できるようなシステムになっています。みんなが正しい情報を知ることで安心するんです。
あたかも「河野太郎氏のようにず〜っと原発行政に疑問を呈してきた」かのように装うのは止めろ!
エネルギーの中東情勢リスクを低減しようとした自民党と、海外の排出枠を購入させることで火力発電を許す25パーセント削減宣言で原子力のリスクを高めた民主党とでは、罪の質が違うことを認めろ!
9月20日追加
新聞記事化されなかったのみならず、YouTubeにアップロードされなかったが、地上波テレビが取り上げた6月2日の代議士会での「原口一博の安全装置を自民党が外しちゃった発言」がデマである、ことを強く示唆する記事がとうとう配信された。よろしければ、 コチラをどうぞ。
2013年9月18日追加
等エントリーが投稿された頃、既に福島第一原発事故を巡る責任論争が始まっていた。地上派テレビにすら「自民党の長期政権のツケだ論」が登場していた。現在もそうだが、日本の最高裁判所が東電に対し証拠を保全させるための命令を出してすらいない頃のことである。当然、政府事故調の中間報告書すら登場していない頃のことである。当然、誰が如何なる判断をし如何なる操作をしたか? すら全く不明な段階の頃のことである。
◇ ◇
誰が如何なる判断をし如何なる操作をしたか? それすら不明な段階での責任論争は、非科学的に過ぎる。
が、やむを得ないことではある。
東電経営陣は株主代表訴訟対策“も”しなければならないであろう。組織的に東電が保有する一部上場企業の株式も含む資産を狙う者たちも現れていたことであろう。エンロンバブル的なものを見据え電力自由化を求める者たちも現れていたことであろう。原発14基の新設も含む鳩山イニシアチブを評価した者たちは、人為的CO2温暖化仮説に基づき火力発電を悪玉にしたことを「なかったこと」にしたいことであろう。復興利権を前に菅降ろしを始めた小沢派や鳩山派ならば、1号機の40年超えの運転を赦した責任や、自民党政権が先送りにしてきたMOX燃料を装荷しての稼動(プルサーマル営業発電)を古い3号機にすら赦した責任が追及されないようにしたいことであろう。マスコミや広告会社にとっては東電広告減は防ぎたい事態であろう。
そもそも、不快を遠ざけ快を得ようとするのが人間である。立場の弱い者に責任を擦り付けるのが人間である。
◇ ◇
因みに、等ブログはこの頃既に、判断ミスや操作ミスがなかったのかどうか? 揺れで何処まで壊れてしまったのか? 津波で何処まで壊れてしまったのか? すら明らかにされていない中での責任論争であり、自民党政権の罪と民主党政権の罪の質の違いが弁えられていない中での責任論争であり、「山本七平氏の空気の理論」には責任の所在を曖昧にする機能があることこから、「空気に縛られる国民性と云う物語を隠れ蓑にしたエリートの自己保身(=一億総懺悔の再現)」を赦す可能性が高いことを警告している。
そして、だからこそ、立場・権限・及ぼした影響の如何に応じて責任の質・大きさが変化することを訴え、非科学的な責任論(=情報が不十分な中での責任論)の展開を赦すマスコミを問題にする文脈で、原口一博氏の「自民党が安全装置・最後の砦を外しちゃった論(=福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた論)」を取り上げた。
◇ ◇
当方が利用している無料ブログサービスから提供される少ないデータからの推理になるが、おそらく『カレイドスコープ』なるブログが等エントリーを取り上げたのであろう。これまた推理になるが、某ワードで検索をかけ表示された『カレイドスコープ』なるブログの内容の一部から、「親小沢系ブログか・・・。訪問しない方がいいな」と感じ訪問しなかったが、おそらく批判的に取り上げたのであろう。
去年だったか今年だったか? は忘れてしまったが、1月のことである。『カレイドスコープ』なるブログから等ブログに訪問した件数が1000前後あったのは。
因みに、知識量も文才もない糞の一人村上ジョージが管理するブログには、『カレイドスコープ』なるブログから等ブログに訪問した人たちを等ブログ愛読者にする力はなかった(自嘲、怪鳥、盲腸、爆w)。
◇ ◇
今年の8月、9月に入って、『カレイドスコープ』なるブログが批判的に取り上げたであろう等エントリーへの訪問者が増えていることもある。
そして当時とは違い、政府事故調、国会事故調、民間事故調による最終報告書が提出され、それなりの根拠を以て言えるようになったこともある。
改めて、原口一博の「福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた論」を検証することにした。
◇ ◇
■福島第一原発1号機の原子炉冷却機能を有する主な設備■
高圧注水系(HPCI)1 系統
非常用復水器(IC)2 系統
炉心スプレイ系(CS)2 系統
原子炉停止時冷却系(SHC)1 系統
格納容器冷却系(CCS)2 系統
■福島第一原発2 号機から5 号機の原子炉冷却機能を有する主な設備■
高圧注水系(HPCI)1 系統
原子炉隔離時冷却系(RCIC)1 系統
炉心スプレイ系(CS)2系統
残留熱除去系(RHR)2 系統
◇ ◇
□補足1:HPCI(高圧注水系)□
配管破断等を原因として冷却材喪失事故が発生したような場合に、圧力容器から発生する蒸気の一部を用いるタービン駆動ポンプにより、復水貯蔵タンク又はS/C 内の水を水源として、圧力容器内へ注水することによって炉心を冷却する設備である。
□補足2:IC(非常用復水器)□
主蒸気管が破断するなどして主復水器が利用できない場合に、圧力容器内の蒸気を非常用の復水器タンクにより水へ凝縮させ、その水を炉内に戻すことによって、ポンプを用いずに炉心を冷却する設備である。最終的な熱の逃し先は大気である。
□補足3:RCIC(原子炉隔離時冷却系)□
原子炉停止後に何らかの原因で給水系が停止した場合等に、圧力容器から発生する蒸気の一部を用いるタービン駆動ポンプにより、復水貯蔵タンク又はS/C 内の水を水源として、蒸気として失われた冷却材を原子炉に補給し、炉心を冷却する設備である。
□補足4:CS(炉心スプレイ系)□
何らかの原因により冷却材喪失事故によって炉心が露出した場合に、燃料の過熱による燃料及び被覆管の破損を防ぐために、圧力抑制室(S/C)内の水を水源として、炉心上に取り付けられたノズルから燃料にスプレイすることによって、炉心を冷却する設備である。
□補足5:CCS(格納容器冷却系)□
冷却喪失事故が発生した際に、S/C 内の水を水源として、格納容器内にスプレイすることによって、格納容器を冷却する設備である。
□補足6:SHC(原子炉停止時冷却系)□
原子炉停止後、炉心の崩壊熱並びに圧力容器及び冷却材中の保有熱を除去して、原子炉を冷却する設備である。
□補足7:RHR(残留熱除去系)□
原子炉停止後、ポンプや復水器タンクを利用して冷却材の冷却や非常時に冷却水を注入して炉水を維持する系統であり、非常用炉心冷却系(ECCS)の一つである。その運転方法(モード)には、@原子炉停止時冷却モード、A低圧注水モード(ECCS)、B格納容器スプレイモード、C蒸気凝縮モード、DS/C 冷却モード、E非常時熱負荷モードの六つがある。
□補足8:主蒸気逃がし安全弁□
原子炉圧力が異常上昇した場合、原子炉圧力容器保護のため、自動又は中央制御室における遠隔手動で蒸気を圧力抑制室に逃がす弁(逃した蒸気は、圧力抑制室内の冷却水で冷やされ凝縮する。)で、非常用炉心冷却系(ECCS)の自動減圧装置としての機能も持っている。
□補足9:SR 弁□
2号機については、原子炉圧力容器内の蒸気を圧力抑制室内に吹き出す仕組みになっているSR 弁が8本あり、これらのSR弁によって多少の前後はあるものの、原子炉圧力7.5MPa gage 前後で逃し弁機能が、7.7MPa gage 前後で安全弁機能が、それぞれ作動する仕組みになっている。
◇ ◇
□捕捉10:浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故□
平成13年11月7日に浜岡原子力発電所1号機の高圧注水系の起動試験において発生した、高圧注水系から余熱除去系熱交換器に分岐している蒸気配管のエルボ部の破断事故(事象)のことである。「ジルコニウム由来の水素ではなく、放射線由来の水素及び酸素が、配管のある特殊な形状を理由に滞留し、応力腐食割れ防止策として添加された白金やロジウム等の貴金属によって、水素と酸素の爆発的な反応が促され、配管が破裂するに至った」と分析された。因みに、事故の深刻さは「INES(国際原子力事象評価尺度)レベル1」とされた。
□捕捉11:浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故を受けての対策□
一つ目、蒸気凝縮系を撤去し、逃がし安全弁と原子炉隔離冷却系による隔離時の冷却機能で補う仕様に変える。二つ目、グランド蒸気調整機の入口配管、湿分分離加熱器第1段スカベンジング配管、エバポレータ入口配等、水素の滞留を許さない形状へと変える。
◇ ◇
□補足13:教育・訓練不足の状態で任務に就かせていた問題 例1□
1号機の運転操作をする当直は、誰一人として、3月11日に地震が発生するまで、ICを実際に作動させた経験がなかった。当直の中には、先輩当直から、「ICが正常に作動した場合、1号機R/B 西側壁面にある二つ並んだ排気口(通称「豚の鼻」)から、復水器タンク内の冷却水が熱交換によって熱せられて気化した蒸気が水平に勢いよく噴き出し、その際、静電気が発生して雷のような青光りを発し、『ゴー』という轟音を鳴り響かせる」などと伝え聞いている者もいた。
□補足14:教育・訓練不足の状態で任務に就かせていた問題 例2□
15時3分頃、非常用復水器ICのA系、B系両方とも停止された後、A系のみが再起動され、合計3 回にわたり操作された。
□補足15:教育・訓練不足の状態で任務に就かせていた問題 例3□
18時25分頃、非常用復水器ICの戻り配管隔離弁MO-3Aが閉操作された。
□補足16:教育・訓練不足の状態で任務に就かせていた問題 例4□
21時30分頃、当直は、非常用復水器ICの戻り配管隔離弁MO-3Aを開操作した事実を発電所対策本部に報告した。但し、「ICを起動させたところ、蒸気の発生量が少量であったため、復水器タンクの水量が十分でない可能性があり、ICは機能していないのではないかと思う」旨の報告に過ぎず、「閉操作した」旨の報告はされていない、との調査結果もある。
□補足17:教育・訓練不足の状態で任務に就かせていた問題 例5□
3月11日15時37分頃、全交流電源どころか直流電源までもが失われてしまったと認識している以上、フェイルセーフ機能が働き、非常用復水器ICの隔離弁が全て閉じ、非常用復水器ICが機能していない可能性が高いことに対する問題意識を抱くべきであった。しかし、本店も含めて、非常用復水器ICが機能していると思っていたらしい。
□補足18:「教育・訓練不足の状態で任務に就かせていた問題 例1〜5」を読むにあたっての注意事項□
「証拠が差し押さえられ、免責と引き換えに聞き取り調査が行なわれた結果」ではない故、東電及び東電社員にとって都合の悪いことが隠されている可能性があることを前提化していただきたい。
□補足19:「福島第一原発1号機の原子炉冷却機能を有する主な設備」から「教育・訓練不足の状態で任務に就かせていた問題 例5」を読むにあたっての注意事項□
尚、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」が作成した『報告書』を基に作成されている。
◇ ◇
■原口一博氏の曖昧な点:一つ目■
「平成15年の自民党政権の時代に外されていた安全装置は、福島第一原発2号機、3号機にはないが、同1号機にはある非常用復水器ICである」と解釈することも可能である。
■原口一博氏の曖昧な点:二つ目■
しかし、「時期」を考えると、「平成15年の自民党政権の時代に外されていた安全装置は、平成13年11月7日に発生した浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故を受けて講じられた対策の一環として条件付で撤去を求められた、高圧注水系の余熱除去系熱交換器である」と解釈することも可能だ。
■原口一博氏の記者会見を開いた2011年6月2日時点での確信部分■
「少なくとも福島第一原発の冷却システムは全て取り外していることが分かりました」
■補足20:「原口一博氏の曖昧な点:一つ目」から「原口一博氏の記者会見を開いた2011年6月2日時点での確信部分」までを読むにあたっての注意事項■
地上波テレビが報じた2011年6月2日に開かれた民主党の総会での原口一博氏の発言ではなく、地上波テレビが報じた件の発言よりもトーンダウンしている、その件の総会後に開かれた記者会意見を受けて配信されたBROGOSの記事、『「福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた」 原口氏が衝撃の告発 (ttp://news.livedoor.com/article/detail/5605632/)』を基に作成されている。
◇ ◇
■地上波テレビが報じた2011年6月2日に開かれた民主党の総会での発言よりもトーンダウンしてはいるが、件の総会後に開かれた記者会意見を受けて配信されたBROGOSの記事から確認される、原口一博氏の発言の完全なる嘘部分■
「少なくとも福島第一原発の冷却システムは全て取り外していることが分かりました」は完全なデタラメである。
理由、少なくとも「政府事故調調べ」に基づく限り、主な原子炉冷却機能を有する設備だけでも、福島第一原発1号機の場合は、高圧注水系(HPCI)1 系統、非常用復水器(IC)2 系統、炉心スプレイ系(CS)2 系統、原子炉停止時冷却系(SHC)1 系統、格納容器冷却系(CCS)2 系統ある。同2 号機から5 号機の場合は、原子炉冷却機能を有する主な設備は、高圧注水系(HPCI)1 系統、原子炉隔離時冷却系(RCIC)1 系統、炉心スプレイ系(CS)2系統、残留熱除去系(RHR)2 系統ある。
◇ ◇
■地上波テレビが報じた2011年6月2日に開かれた民主党の総会での発言よりもトーンダウンしてはいるが、件の総会後に開かれた記者会意見を受けて配信されたBROGOSの記事から確認される、原口一博氏の発言の微妙な嘘部分■
「佐賀大学元学長の上原先生が指摘しているように、蒸発系の冷却システムがあれば、電源喪失しても蒸気が出ている限り巡回するので安全だったんです」は微妙な嘘である。
理由1、少なくとも「政府事故調調べ」に基づく限り、高圧注水系(HPCI)は、福島第一原発1号機にも、同2号機、3号機にも取り付けられている。非常用復水器(IC)は福島第一原発同1号機にしかないが、同2号機、3号機にはそれに比べれば操作が簡単な原子炉隔離時冷却系(RCIC)がある。
理由2、百歩譲って、(1)平成13年11月7日に発生した浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故を受ける形で講じたらた対策の一環として条件付で撤去を求められた、高圧注水系の余熱除去系熱交換器が残され、幸運にも(2)平成13年11月7日に発生した事故のような余熱除去系配管破断事故が起こらなかったとしても、(a)高圧注水系(HPCI)や非常用復水器(IC)や原子炉隔離時冷却系(RCIC)が自動起動しなかったり、(b)自動起動してもそれらが手動停止されてしまったり、(c)操作や再起動が放棄されてしまったり、(d)バッテリーが切れてしまったりすれば、注水できなくなり、圧力が上昇し、ジルコニウム由来の水素が大量に発生する。
◇ ◇
■もし原口一博氏の言う「平成15年の自民党政権の時代に外されていた安全装置」が、「平成13年11月7日に発生した浜岡原子力発電所1号機余熱除去系配管破断事故を受けて講じられた対策の一環として条件付で撤去を求められた、高圧注水系の余熱除去系熱交換器」である場合■
少なくとも地上波テレビが報じた件の発言よりもトーンダウンしている、その件の総会後に開かれた記者会意見を受けて配信されたBROGOS編集記事、『「福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた」 原口氏が衝撃の告発』に基づく限り、ではある。が、原口一博氏は、
佐賀大学元学長の上原先生が指摘しているように、蒸発系の冷却システムがあれば、電源喪失しても蒸気が出ている限り巡回するので安全だったんです。と発言している以上、原口一博氏は「逃がし安全弁と原子炉隔離冷却系による隔離時の冷却機能では、蒸気凝縮系機能は担えない」ことを証明できない限り、デマを飛ばしたことになる。それも、国民の憤りの矛先が、
ところが4月3日、私が東電に直接行って、「冷却系の蒸気系のシステムがどこにあるか?」と聞くと、担当者は「ないんです」と言うんです。
原子力安全委員会の議事録を読むと、平成15年の自民党政権の時代に、ECCS(非常用炉心冷却装置)の中の冷却系の蒸発システムが取り外されていたんです。
なぜ、そんなことをしたんでしょうか。「ベントするから大丈夫」というんです。
皆さんご存知のように、ベントは放射能を原子炉から出すことですが、「放射能を出すから、安全冷却システムがいらないんだ」という理屈だったようです。
これは全く理解できません。安全装置を取り外さなかったら、このような大災害は起きなかったのではないでしょうか。
- 鳩山イニシアチブで火力発電を悪者にし、福島第一原発1号機の40年超の運転を赦し、自民党が躊躇していた3号機等へのMOX燃料装荷を赦すなどした、当時政権与党であった自身が所属する民主政党に対してではなく、
- 判断ミスや操作ミス等すら疑われている東電に対してでもなく、
- 地域独占の下の総括原価方式により打たれる必要のない電力会社の広告を収入源としていたマスコミや広告会社に対してでもなく、
- 1992年の原発の安全設計審査指針の見直しにおいて、原子力安全委員会の作業部会が、東京電力や関西電力からの圧力に屈し、長時間の全電源喪失を考慮しなくてもいいようにしたこと等に対してでもなく、
- 自民党に向けられるようにする形
◇ ◇
念のため、「電力マネーに屈した可能性すらある原子力安全委員会や、東電の判断ミスや操作ミス等を不問に付し、ただひたすら自民党に責任を求める」と云うことは、「一億総懺悔(=コネなきその他大勢に対する責任の擦り付け)の再現を赦す」と云うこと、そして福島第一原発事故から妥当な教訓を引き出せなくなる故に「福島第一原発事故の再現を赦す」と云うこと、と同義だ。
◇ ◇
全部読んでいただきたいが、併せて読んでいただければ有り難いエントリーを三つ程。
◆ 作業適切なら炉心損傷確率11% 原口一博「福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた」の嘘
◆ 【英国で経済的合理性から割に合わない核燃料サイクルは破綻】と【東電の国会事故調に対する虚偽説明問題】 古館報道ステーションは国会事故調査の田中三彦氏と政府事故調査の責任者を呼べばいい。もし1号機の非常用復水器ICが地震で壊れていたとすると政府事故調はデータを捏造したことになる。
◆ 自意識考(3) 菅元首相ら原発事故告訴不起訴へ 空気に縛られる国民性が問題にされながら一億総懺悔の再現を赦したのは何故か? 非合理が存在する理由、合理を追求するための非合理な戦いに耐えられない理由、合理を追求しないと云う非合理に耐えられる理由、この似て非なるもの。
◇ ◇
2012年6月4日から5日にかけ、「1992年の原発の安全設計審査指針の見直しにおいて、原子力安全委員会の作業部会が長時間の全電源喪失を考慮しなくてもいいようにするために、東京電力と関西電力に『理由を作文してほしい』と指示していた」と報じられ、それを受け「東電カワイソス。国の指示に従っていただけ」と云った調子の東電擁護論系の声が上がったが、朝日新聞の記事からは無論のこと産経新聞の記事からも、原子力安全委員会が東電や関電の圧力に屈していたことが読み取れる。時効になっているのかもしれないが、贈収賄を十分匂わせるものだ。
全電源喪失、「対策不要」業界に作文指示 平成4年 安全委、指針改定見送り
東京電力福島第1原発事故の原因となった長時間の全電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が平成4年、対策が不要な理由を文書で作成するよう電力業界側に指示し、東電が作成した文章をほぼ丸写しした報告書をまとめ、安全指針の改定を見送っていたことが3日、分かった。安全委は事実関係を隠蔽(いんぺい)してきたが、国会事故調査委員会が受理した同部会の内部資料で判明。規制当局側が業界側と癒着し、不適切な指針を容認してきた実態が明らかになった。
この作業部会は「全交流電源喪失事象検討ワーキンググループ」。海外で全電源喪失の事例が起きたことを受けて3年に設置され、有識者の専門委員のほか東電、関西電力、日本原子力研究所(当時)の外部関係者が参加した。
長時間の全電源喪失は原発の過酷事故につながる重大事態だが、2年に策定された国の安全設計審査指針は「長時間(30分程度以上)の全電源喪失は考慮する必要はない」としており、作業部会はこの妥当性について非公開の会議を開き検討した。
会議では、全電源喪失対策を指針に盛り込むことについて、関電が「指針への反映は行き過ぎ」、東電が「(過酷事故の)リスクが特に高いとは思われない」と反発。新たに対策が必要になると設備などでコストが増えるためとみられる。
これに応じる形で作業部会は4年10月、当時の安全委事務局だった科学技術庁原子力安全調査室経由で、東電と関電に「今後も長時間の全電源喪失を考えなくて良い理由を作文してください」と文書で指示。規制当局の安全委が、規制方針にかかわる文書作成を業界側に丸投げした格好だ。
これに対し東電は同年11月、「わが国の原発は米国の基準に比べると設計の余裕があり、十分な安全性が確保される」などと回答。報告書案にほぼそのまま盛り込まれ、5年6月に「重大な事態に至る可能性は低い」とする最終報告書が作成され、指針の見直しは見送られた。
安全委は福島第1原発事故を受け昨年7月、作業部会の議事などを公表し、関連資料はすべてホームページで公開したとしていた。しかし、全電源喪失の対策が不備だった経緯を調査している国会事故調が今年に入って、業界側とのやりとりを示す内部資料が隠蔽されている可能性を安全委に指摘、提出を求めていた。
原発の全電源喪失 原発に送電線経由で送られる外部電源と、ディーゼル発電機などの非常用電源がともに失われる緊急事態。国の安全設計審査指針では国内の原発で発生しても30分程度で復旧するとされ、長時間の発生は考慮する必要はないとされていた。しかし、東京電力福島第1原発事故で長期間にわたり発生し、原子炉の冷却機能が失われ炉心溶融などの深刻な事態を招いた。産経新聞 2012年6月4日
原発全電源喪失の対策不要」 安全委、業界の意向反映
国の原子力安全委員会の作業部会が1993年に原発の長時間の全電源喪失についての対策は不要と結論づけたのは、電力会社の意向が反映された結果だったことが4日、安全委の公表した資料でわかった。安全委事務局は対策が不要な理由を示す文書を電力会社に作るよう指示。作業部会は電力会社の意向に沿う報告書をまとめたため、指針は改定されなかった。
東京電力福島第一原発は津波に襲われてすべての交流電源が失われ、原子炉の冷却ができなくなり事故を起こした。当時、対策をとっていれば事故を防げた可能性がある。
作業部会は91年につくられ、専門家5人のほか部外協力者として東京電力や関西電力の社員が参加していた。安全委事務局によると、作業部会は当時対策を検討していたが、電力会社が「全交流電源喪失によるリスクは相当低く、設計指針への反映は行き過ぎだ」と反発したという。朝日新聞 2012年6月5日
◇ ◇
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気に入りました。
と褒めていただき、ありがとうございます。
励みになったのですが、ちょっと考えるところがあり、日本アンチ野田団をすっぽかして、日本アンチ松木団に改名することにしました。
高圧注水系とは緊急時に最も重要な働きを担う冷却系である。減圧しなくても圧力容器内の水位を保てるようにする冷却系である。そこに脆弱性があったなら、それを改善するのが安全管理と云うものであろう。脆弱性が確認されたのは、高圧注水系の余熱除去系熱交換器である。それで脆弱性の除去に伴う機能低下がカバーできるなら、別系統の凝縮・減圧機能を追加することも悪い選択ではない。勿論、水素や酸素が蓄積・滞留しない形状に変える、と云う選択肢もある。水素と酸素を静かに燃焼させる機構を追加する、と云う選択肢もある。
鳩山イニシアチブにより、火力発電所を悪者にし、原子力依存度を高めた。あの高速増殖炉もんじゅの再運転も、MOX燃料の燃料プールへの搬入ではなく、原子炉への装荷も赦した。1号機の40年超えの運転も赦した。この民主党政権の原発行政すらも、自民党の長期政権の負の遺産にするのは、無責任に過ぎる。